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  1. 業務

請求書発行の仕事は「経理」か、「営業」か

※この記事は約 6 分で読めます。

企業において、請求書の発行はとても大切な仕事です。請求書をきちんと出さないと、得意先から代金を回収できないからです。

もし仕入先から請求書が届かなかったら、あなたの会社でも社内手続上、支払いができないはずです。請求書は、漏れなく正確に、適切なタイミングで出す必要があります。

ところで、業務改革をしていると、請求書発行の仕事は「経理」が良いのか、それとも「営業」が良いのか、というテーマが度々出ます。

経理と営業が仕事を押し付け合うわけではなく、会社としてどちらの部署でやるのがより適切なのか? 考えてみたいと思います。

1.請求書発行のリスクと対策

まず作成部署を考える前に知っておくべきことがあります。それは「請求書発行にはリスクがつきものだ」ということです。

請求書が誰にでも簡単に発行できると、架空の請求書をねつ造され、売上金を横領される恐れがあります。ですから、請求書の発行に当たっては厳格なルールを設けるのが普通です。

・請求書の連番管理
・請求書の再発行禁止(やむをえず再発行する際は、「再発行」と印字)
・会社仕様の請求書用紙に限定
・販売管理システムから出力される請求書に限定
・請求印を押印できる人を限定
・請求書に担当者印、上長印などの複数印

作成部署が経理でも営業でも、必要な管理を行うことが大切です。

2.発行部署ごとのメリットとデメリット

次に請求書を発行する部署ごとに、メリット・デメリットを整理してみましょう。

2-1 経理部のメリット

経理部で請求書を発行するメリットは大きく3つです。

・請求書発行の適性
・営業担当の負担軽減
・売上計上(手動仕訳)

2-1-1 請求書発行の適性

請求書に間違いがあると大変です。取引先に迷惑がかかりますし、お金がからむことですから信用問題にもなります。

請求書の作成に当たっては正確性が求められます。数字を扱う事務作業を考えると、営業より経理のほうが適任です。

2-1-2 営業の負担軽減

経理が請求書発行すると、営業担当者は営業に専念できます。

営業部に営業事務を置いているような会社だと問題ないですが、そうでないと請求書発行を営業担当が自ら行わなければなりません。

経理が請求書発行しているケースでは、経理が営業事務を兼務している側面もあります。

2-1-3 売上計上(手動仕訳)

売上の計上は“検収”か“出荷”が原則です。販売管理システムや在庫管理システムが構築されていれば、検収か出荷のタイミングで、売上を補足することができます。

しかし、これらのシステムがなかったり、機能が弱かったりすると、検収や出荷のタイミングで売上を捉えることは大変です。

そのため、簡便的に請求書発行と同時に売上を補足します。その場合は、経理が請求書発行するほうが、同時に会計処理できるので楽です。

2-2 営業部のメリット

営業で請求書を発行するメリットは大きく2つです。

・請求内容の正確性
・請求書発行プロセスの簡素化

2-2-1 請求内容の正確性

今月どこの会社に何を売ったかは、営業担当者が一番よくわかっています。経理は当事者ではないので、細かいところまでは把握しきれません。

その点では、営業が請求書作成したほうが、請求内容の間違いは起きにくいでしょう。

2-2-2 請求書発行プロセスの簡素化

経理が請求書発行する場合は、営業から経理に「請求書発行依頼」を提出します。そして、内容に不備や疑問点があると、経理と営業との間で余計なやりとりが発生します。

営業で請求書発行すれば、請求書発行プロセスが簡素化できます。

2-3 メリット・デメリットのまとめ

経理のメリットは営業のデメリットであり、営業のメリットは経理のデメリットになります。これらをまとめると、以下のようになります。

3.企業ステージと請求業務

企業はそのステージによって、業務の有り様が大きく変わります。中小企業ステージと中堅企業ステージでは、請求業務がどのように違うのでしょうか?

得意先数・品目数・請求書発行枚数

得意先数・品目数・月間の請求書発行枚数は、中小企業では少なく中堅企業では多いでしょう。売上が増えればその差はさらに広がります。

営業人員・営業事務

中堅企業になれば組織や体制が整ってきます。中小企業と比べ営業人員は多く、人員が多くなれば課単位で専属の営業事務担当者を置くこともできます。

営業情報(経理と)

中小企業だと、経理担当者と営業担当者の机の距離は近く、自然と営業情報が入ってきます。何か疑問点があっても、すぐに声をかけられます。しかし、中堅企業ともなると、営業と経理のフロアや席が離れ、営業情報は共有化しにくくなります。

基幹システム

中小企業は高額なシステム投資ができませんが、中堅企業は取引量の増加から逆に基幹システムがないと業務が回りません。

売上計上・売上仕訳

中小企業は請求書ベースで売上計上し、会計ソフトに売上仕訳を手入力します。一方、中堅企業は基幹システムがあるので出荷・検収ベースで売上計上し、会計システムに自動仕訳で連携します。

4.企業ステージと発行部署

経理と営業の発行部署ごとのメリット・デメリットと、中小企業と中堅企業の企業ステージごとの請求業務を考えると、組み合わせが見えてきます。

中小企業の発行部署

中小企業は、営業人員に余裕はありません。まして営業事務など置けません。さらに基幹システムはないので、売上計上は請求書発行ベースです。

請求書発行枚数も得意先も限られますから、経理で請求書経理が営業事務を兼務して、請求書発行するほうが理に叶っています。

中堅企業の発行部署

中堅企業になれば、営業部に営業事務を置くこともできます。営業人員も多いので営業担当自身が請求書発行することでも問題ないでしょう。

基幹システムも充実しているので、売上計上は出荷・検収ベースです。売上仕訳は自動仕訳ですから、経理が請求発行に関与するメリットはありません。請求書発行は営業が望ましいと言えます。

5.中堅企業で経理が請求発行する危険性

中堅企業になったにも関わらず、経理で請求書発行を続けていると問題が発生します。

得意先数・品目数・請求書発行枚数が圧倒的に多いうえ、営業と経理のコミュニケーションも低くなっていると、請求もれや請求間違いが起きる危険性が高くなります。

さらに、それを回避するために、経理では売上に関する契約書や書類をすべてコピーします。営業と経理で二重管理というムダが発生します。

加えて、請求発行プロセスは、営業部(請求書発行依頼)→経理部(請求書発行)→営業部(請求書内容確認)という流れになります。営業にとって負担減どころか負担増です。

6.まとめ

請求書発行の仕事は「経理」が良いのか「営業」が良いのかは、企業ステージが一つの判断材料になります。

企業ステージが中小企業のうちは「経理」、中堅企業になれば「営業」が適切だと言えます。

しかし、問題なのは中堅企業になっても請求書発行を経理が続けることです。請求書発行数が多くなれば、いずれ必ず経理では対応しきれなくなります。

営業担当自身がやるか、営業事務がやるかの違いはありますが、早い段階で営業に移管していく(分散していく)よう、請求業務プロセスを見直しましょう。

システム・業務・会計の三位一体のしくみ専⾨のコンサルタント。これまで50社以上の中堅企業の基幹システムの刷新、業務改革、決算の早期化、原価計算の再構築などを支援する。公認会計士中川充事務所代表

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