会計システムを大企業・中堅企業・中小企業で比較する

  1. システム

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ひとくちに「会計システム」といってもたくさんのパッケージ製品があります。一見どれも似たように見えるので、どのパッケージを選んだらよいかわからないでしょう。

会計システムは大きく3つのグループにわけられます。

・オールインパッケージ
・純国産会計パッケージ
・ERPパッケージ

この3つでは「ターゲット企業」「コンセプト」「主要機能」「価格帯」「拡張性」がまるで違います。次期会計システムを選ぶ際は、まずこのグループをまちがわないことが大切です。

1.オールインパッケージ

オールインパッケージは、言ってみれば「会計ソフト」です。社内のパソコンにインストールすれば、ほぼ何も設定しなくてもそのまま使えます。

ターゲットは中小企業で、仕訳入力者は1名から多くて数名を想定し、価格帯は数万円から数百万円です。

メリットはなんといっても「仕訳入力のしやすさ」です。中小企業は販売・購買・在庫などの本格的な基幹システムがありません。仕訳は手入力で行われることが前提です。

ですから、仕訳のコピー・修正・付箋・仕訳パターンの登録など手入力を補助する機能が豊富です。

デメリットは拡張性の無さでしょう。企業が成長すると組織は複雑になり、商品アイテムや社員数は多くなります。管理用の組織での集計やセグメント管理など違う切り口の機能がほしくなります。

しかし、複雑な機能はあえて削っています。機能をシンプルにすることで、使い勝手を良くし、価格を抑えています。

また、オールインパッケージは、本格的なデータベースを使っていません。取引量が多くなれば、いずれレスポンス(応答速度)に限界がきます。

ただし、現在このクラスはオンライン・クラウドサービスが主流になりつつあります。データ量の限界は無くなったと言えるでしょう。

・ターゲット:中小企業
・主要機能:基本機能(特に仕訳入力)
・メリット:入力のしやすさ
・デメリット:拡張性の無さ

2.純国産会計パッケージ

純国産会計パッケージとは、国内システムベンダーが販売している会計パッケージシステムです。古いモノはオフコン時代からの流れをくみ、クライアント・サーバー型、現在はクラウド型が増えてきています。

ターゲットは中堅企業で、一般会計だけでなく債権管理、債務管理、手形管理、固定資産管理など周辺モジュールが整っているのも特徴です。

純国産会計パッケージは、本社経理部だけでなく部門や支店の事務方などの多人数の利用を想定し、価格帯は複数モジュールの導入で千万円から五千万円くらいにはなります。

メリットはシステム連携です。基幹システムやワークフローシステムなど他システム連携を前提に設計されています。また中堅企業ともなると、会計や会計の周辺業務でさまざまな処理が要求されますが、それらに標準で対応しています。

デメリットは、オールインパッケージとの比較でいえば「価格」です。オールインとは違い、純国産会計ではアプリケーションとは別にデータベースも構築します。価格が一桁ちがってきます。

ERPとの比較で言えば「外貨対応」です。ERPは完全な複数通貨対応ですが、純国産会計パッケージは処理に応じて部分的に外貨対応しているだけなので、限界があります。

・ターゲット:中堅企業
・主要機能:基本機能、セグメント管理
・メリット:システム連携、周辺モジュールの充実
・デメリット:価格(対オールイン)、外貨対応(対ERP)

3.ERPパッケージ

ERPパッケージとは全社統合システム(Enterprise Resource Planning)です。会計だけでなく基幹まで全モジュールがそろっています。大半は海外ベンダー制です。

ERPのターゲットはグローバル企業です。ERPパッケージの良さを最大限に引き出すなら、会計システムだけでなく基幹システムまで含めてERPにすべきですが、会計システムだけERP、あるいは基幹システムだけERPというパターンもあります。

仮に会計システムだけERPとした場合、価格帯は最低5,000万円(大幅な機能制限付きで)からとなります。

しかし、グローバル企業がこれほどのシステムをスクラッチ開発しようとしたら、金額も期間も驚くほどかかります。稼働後のリスクも高いでしょう。そういう意味では、グローバル企業にとっては安価でリスクが少ないと言えます。

デメリットは、柔軟性のなさでしょう。全社業務を網羅するパッケージシステムですから、どこかカスタマイズするだけでも、どこにどんな影響が出るかわかりません。コア部分はもちろんノンカスタマイズが大原則です。ERPを導入する場合は、日本独特の商習慣を完全にやめるくらいの覚悟がないとなりません。

・ターゲット:グローバル企業
・主要機能:基本機能、セグメント管理、複数通貨、複数言語
・メリット:安価・リスク小(グローバル企業にとって)
・デメリット:柔軟性の無さ(原則ノンカスタマイズ)

4.3グループ選択のポイント

次期会計システムとして3グループの中から何を選択すればよいのか? 選択する際のポイントを説明しましょう。

4-1 「オールイン」VS「純国産会計」

一般会計だけでみれば「オールイン」と「純国産会計」の違いはそれほど明確ではありません。どのようなタイミングで切り替えれば良いのか? ポイントは2つあります。

一つは「5年後のビジョン」です。会社の売上高はどこまで伸びるのか? 社員数は何人くらいになるのか? 店舗や営業所はどれくらい増えるのか? いまの姿でなく将来を考えてどちらが適切かを考えます。

システムが成長の足を引っ張ってはいけません。中堅企業になってからではなく少し早い段階で導入に向けて動き出すほうが楽ですし、賢明です。

もう一つのポイントは「債権管理・債務管理」です。「オールイン」にも周辺モジュールがありますが、残念ながら「純国産会計」クラスの機能は有していません。

売上や仕入が多くなれば、かならず債権管理・債務管理のシステム化が必要になります。基幹システムの一部で実現する方法もありますし、「純国産会計」のモジュールを利用する方法もあります。

いずれにせよ債権管理・債務管理が大変になってきたときは、「純国産会計」を検討するターニングポイントです。

4-2 「純国産会計」VS「ERP」

中堅企業は「純国産会計」。グローバル企業は「ERP」。では大企業はどうすればよいか? ポイントは2つあります。

一つは「国外ビジネス」です。輸出入取引や海外子会社など国外ビジネスが多くなったならば「ERP」を検討します。複数通貨・複数言語、企業グループの同一システム化などメリットが大きいでしょう。

国内ビジネス中心なら「純国産会計」を使いつづけます。中堅企業がターゲットですが、売上高1,000億円以上の会社でも支障なく利用できます。

もう一つのポイントは「基幹システム」です。ERPは柔軟性がありません。スクラッチ開発でできたことも、ERPだとムリな処理が多々発生します。取引条件を変えたり、業務内容やプロセスを変えたりできるかどうか。それを見定めなければなりません。

一方で、現行の基幹システムに問題をかかえているので「一気にERPに載せ替えたい」という話もあります。

これはショック療法ですが、会社としてERPに合わせる強い覚悟ができていないと、導入が空中分解することになります。現実問題として何億円(ときには何十億円)もかけて断念するケースもありますから、あまく考えないことです。

5.まとめ

会計システムの3グループ「オールインパッケージ」「純国産会計パッケージ」「ERPパッケージ」についてまとめると以下のとおりです。

売上高(年商)とパッケージの価格帯を図であらわすと次のとおりです。なお、これはあくまでご参考です。企業やビジネスによって適したパッケージは異なります。また、パッケージの価格は製品や導入モジュールによって大きく異なりますのでご注意下さい。

 

システム・業務・会計の三位一体のしくみ専⾨のコンサルタント。

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